商標における不使用取消に対する抗弁のための使用証拠の要件

2025/06/30
2025/06/30

中国の商標審査実務によると、商標登録者は、使用証拠の提供に関する官庁通知を受領した場合、2か月以内に過去3年間の商標の使用を示す証拠を提出するか、商標の不使用の正当な理由を述べる必要があります。指定された期間の満了時に証拠が提出されない場合、提出された証拠が使用を証明できない場合、または不使用の十分な理由がない場合、商標局は商標の登録を正式に取り消します。

1.商標の使用

- 中国商標法およびその実施条例で言及されている「商標の使用」には、商品の出所を識別する目的で、商品、商品の包装または容器、商品の貿易書類、または広告、展示会、その他の商業活動において商標を使用することが含まれます。

- 商標権者による自己使用、他人への許諾使用、その他商標権者の意に反しない使用は商標の使用とみなされます。

- 実際に使用している商標が登録商標と若干異なるものの、その顕著な特徴に変更がない場合、その使用は登録商標の使用とみなされます。

- 商標登録者は、使用を定めた商品において登録商標を使用するものとします。商標登録者が使用を定めた商品において登録商標を使用している場合、類似商品における登録も引き続き有効ですが、使用を定めた商品以外の類似商品に登録商標を使用している場合、登録商標の使用とはみなされません。

- 実際に使用された商品が中国分類の標準商品に属していないものの、商品名のみが使用を定めた商品と異なり、実質的に同一商品である場合、または実際に使用された商品が使用を定めた商品の従属概念に属する場合、使用を定めた商品での商標の使用とみなすことができます。 - 登録商標を付した商品が中国国内で流通しておらず、直接輸出されている場合も、使用を定めた商品での商標の使用とみなされます。

以下の場合、中国商標法における商標の使用とはみなされません。

a. 商標登録情報の公表または登録商標の独占権の宣言
b. 商業分野で公然使用されていない場合
c. 登録商標の主要部分または識別性(顕著な特徴)を変更して使用している場合
d. 実際の使用を伴わない譲渡またはライセンス行為
e. 商標登録の維持のみを目的とした象徴的な使用

対応する裏付けとなる証拠がなければ、以下の文書自体は使用の有効な証拠とはみなされません。

a.売買契約、合意書またはサービス提供契約
b.宣誓供述書
c.改変されているか否かの判断が困難であって真正性を証明できない物理的証拠、視聴覚資料、ウェブサイト情報など
d.実物および複製品

2.使用形態

中国商標法実施条例によると、以下の使用は商標の有効な使用とみなされます。

1) 商品、商品の包装、およびビジネス文書への商標の使用。これには以下が含まれます。

・商品の包装、容器、ラベル、タグ、紹介、取扱説明書などへの商標の使用
・販売契約、領収書、手形、レシート、船荷証券、輸出入検疫証明書、税関申告書など、商標を付した商品の取引に関連する商業文書への商標の使用
・商標法に準拠したその他の商標使用方法

2) 広告、宣伝、展示会、その他の商業活動における商標の使用。これには以下が含まれます。

・放送、テレビ、その他の媒体や出版物における商標の使用
・広告看板、郵便物、その他の広告における商標の使用
・展示会や博覧会における商標の使用

3) 役務商標の使用形態には、次のことが含まれます。

・役務への直接的な商標の使用
これには、紹介マニュアル、役務場所の看板、装飾、ポスター、メニュー、登録証、価格表、登録カード、宝くじ、文房具、便箋、その他の補助器具や物品への商標の使用が含まれます。
・送金伝票、領収書、発送リスト、役務提供契約など、役務に関連する文書資料への商標の使用
・商標法に準拠したその他の使用方法 ※書類の証拠は原本または認証した副本いずれも認められますが、実物的証拠は原物とされます。原本の提出が困難な場合は、認証した副本または認証した写真/ビデオでも構いません。

3.有効な証拠

不使用取消に耐え得る使用証拠は、以下の基準を満たす必要があります。

1)証拠に反映されている商標が当該商標であること
2)証拠に反映されている使用商品または役務が、当該商標の指定商品または役務であること
3)証拠に反映されている使用者が、登録者またはそのライセンシーであること

使用者がライセンシーである場合、当該商標登録者からの授権を示すライセンス契約を提出すること

4)証拠に反映されている使用が、当事者が不使用取消請求をした日から遡って過去3年間の期間に発生していること
5)証拠が中国本土で発生しているか、中国本土での使用を説明できること
6)使用が、象徴的な使用ではなく商業的な使用であること

4.不使用の正当な理由

登録商標の不使用の正当な理由として、次の場合が挙げられます。

1)不可抗力
2)国策による制限に伴う一時使用停止
3)破産清算による一時使用停止
4)その他、商標を使用できない状況

著者:品源商標代理人 段媛花

    

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