最高人民法院による薬品上市審査評価承認に係る専利民事事件の審理における法律適用問題に関する若干の規定(意見募集稿)(仮訳)

2021/04/04
2022/03/31

(意見募集稿)

薬品上市審査評価承認に係る専利民事事件を正確に審理するため、「中華人民共和国専利法」、「中華人民共和国民事訴訟法」などの関連法律規定に基づき、知的財産権裁判の実情と結び付けて、本規定を制定する。

第一条 専利法第七十六条に規定される薬品上市審査評価承認に係る専利一審民事事件は、北京知識産権法院が管轄する。

第二条 専利法第七十六条にいう関連専利とは、中国上市薬品専利情報登録プラットフォームに登録されている、中国国内で登録上市されているジェネリック薬品の関連専利を指す。専利法第七十六条にいう利害関係者とは、前款にいう関連専利の被許諾者と登録された薬品の上市許可所持者を指す。関係当事者とは、前款にいう関連専利の権利者、利害関係者及び薬品上市許可申請者を指す。

第三条 当事者が専利法第七十六条にいう訴訟を提起する場合、民事訴訟法の起訴要件に関する規定に符合するとともに、起訴の際、次の証拠資料を提出しなければならない。
(一)中国上市薬品専利情報登録プラットフォームに登録された関連専利の情報。
(二)国家薬品審査評価機関情報プラットフォームに公示された登録申請した薬品の関連情報と関連専利権の保護範囲に入らないという声明。
(三)登録申請した薬品の技術案が関連専利権の保護範囲に入るか否かの予備的証拠。

薬品上市許可申請者は、一審の答弁期間中に、人民法院に国家薬品審査評価機関に申告した、関連専利権の保護範囲に入るか否かを認定する技術資料の写しを提出しなければならない。

第四条 専利権者または利害関係者が提起した専利法第七十六条にいう訴訟の根拠となる請求項が、届出薬品の中国上市薬品専利情報登録プラットフォームに登録できる専利の類型に該当しない場合、人民法院は受理しない。すでに受理している場合、起訴却下の裁定を下す。
専利権者又は利害関係者が提起した専利法第七十六条にいう訴訟の根拠となる一部の請求項が前款の規定状況に属する場合、人民法院は当該部分の訴訟を受理しない裁定を下すことができる。すでに受理している場合、審理の対象にならない。

第五条 当事者が専利法第七十六条にいう訴訟を提起した後、他の当事者が同一の専利権及び登録申請した薬品に対して、専利法第七十六条にいう訴訟を提起した場合、人民法院は法律に基づき合同審理を行うことができる。専利権者または利害関係者が第三者として訴訟に参与することを申請し、民事訴訟法の関係規定に符合する場合、人民法院はこれを許可しなければならない。

第六条 当事者が、国務院専利行政部門が専利法第七十六条にいう行政裁決申請を受理していることを理由に、専利法第七十六条にいう訴訟を受理すべきでないと主張するか、又は訴訟の中止を申請した場合、人民法院はこれを支持しない。

第七条 当事者が、国務院専利行政部門が関連専利権の無効を宣告する請求を受理したことを理由に、専利法第七十六条にいう訴訟の中止を申請した場合、人民法院は通常これを支持しない。

第八条 国務院専利行政部門が、当事者が提起した専利法第七十六条にいう訴訟の根拠となる請求項の無効を宣告した場合、または、一審の行政判決が当該請求項が無効を宣告されるべき状況を有すると認定した場合、人民法院は専利権者または利害関係者の起訴を却下する裁定、あるいは薬品上市許可申請者の請求に基づいて、登録申請した薬品関連技術案が関連専利権の保護範囲に入らないことを确認する判決を下すことができる。

第九条 薬品上市許可申請者が、専利法第七十六条にいう訴訟の中で従来技術の抗弁あるいは専利権侵害と見なさない法定状況があることを主張し、人民法院の審査を経て成立する場合、専利権者または利害関係者の訴訟請求を棄却する判決、または薬品上市許可申請者の請求に基づき、登録申請した薬品の関連技術案が関連専利権の保護範囲に入らないことを確認する判決を下すことができる。
薬品上市許可申請者が答弁において関連専利権が明らかに无効を宣告されるべき状況にあることを主張し、人民法院の審査を経て事実であれば、専利者または利害関係者の訴訟請求を棄却する判決を下す、あるいは薬品上市許可申請者の請求に基づき、登録申請した薬品の関連技術案が関連専利権の保護範囲に入らないことを確認する判決を下すことができる。

第十条 専利権者または利害関係者が、専利法第七十六条にいう訴訟において行為保全を申請し、薬品上市許可申請者が関連専利権の有効期間内に、生産経営の目的で製造、使用、販売許諾、販売、輸入行為を実施すること、あるいは実施しようとすることを禁止する請求を行う場合、担保を提供しなければならず、担保を提供しない場合、申請を却下する裁定を下す。
専利権者または利害関係者が専利法第七十六条にいう訴訟において行為保全を申請し、薬品の上市申請行為または審査評価承認行為の禁止を請求した場合、人民法院はこれを支持しない。

第十一条 当事者は訴訟において獲得した他の当事者の営業秘密に対して秘密保持義務を負い、無断で開示したり、あるいは訴訟の活動外で使用したり、他人にその営業秘密の使用を許可したりした場合、法に基づいて民事責任を負わなければならない。民事訴訟法第一百一十一条の規定を満たす場合、人民法院は法に基づいて強制措置を取ることができる。犯罪を構成する場合、法に基づいて刑事責任を追及する。

第十二条 登録申請した薬品の関連技術案の一部が関連専利権の保護範囲に入り、一部が入らない場合、人民法院は裁判の主文の中でそれぞれに認定を下さなければならない。

第十三条 薬品上市許可申請者が人民法院に提出した登録申請した薬品の関連技術案が、国家薬品審査評価機関に申告した技術資料と明らかに異なり、正常な審理に影响を及ぼすのに十分である場合、人民法院は民事訴訟法第一百一十一条の規定に基づき、情况を見て処理することができる。

第十四条 同一の専利権及び登録申請した薬品について、当該薬品の上市承認がなされない前に、当事者が専利権侵害を提起したり、或いは専利権非侵害確認訴訟の立案時期が専利法第七十六条にいう訴訟の立案期間より後である場合、北京知識産権法院に移送しなければならず、それ以前のものは移送しない。
国務院薬品監督管理部門が法に基づいて登録申請した薬品を承認した後、当事者が専利権侵害訴訟或いは専利権非侵害確認訴訟を提起した場合、移送はしない。

第十五条 登録申請した薬品が法に基づき上市承認を得た後、専利法第七十六条にいう訴訟を審理した人民法院が発効した裁判を行い、当該登録申請した薬品の関連技術案が関連専利権の保護範囲に入ると認めた場合、専利権者又は利害関係者は、当事者が実施した専利権侵害行為に対して、別途専利権侵害訴訟を提起することができる。

第十六条
同一の専利権及び登録申請した薬品に対する専利権侵害又は専利権非侵害确認訴訟において、当事者が専利法第七十六条にいう訴訟の発効した裁判に基づき、被疑侵害薬品の技術案が当該専利権の保護範囲に入るか否かを認定すると主張した場合、人民法院は通常これを支持する。ただし、被疑侵害薬品の技術案と登録申請した薬品の関連技術案が一致しない或いは新しく主張した事由が成立することを証明する証拠がある場合、この限りではない。

第十七条 専利権者または利害関係者が権利を濫用し、専利法第七十六条にいう訴訟を提起して正当な理由なく取り下げたか、あるいはすべての訴訟請求が支持を得られず、薬品上市許可申請者が、薬品上市を一時停止することによって受けた損失及び訴訟の合理的な支出の賠償を提訴して請求した場合、人民法院は法に基づいて受理することができる。上記一審事件は北京知識産権法院が管轄する。

第十八条 人民法院が当事者に対して中国上市薬品専利情報登録プラットフォームまたは国家薬品審査評価機関情報プラットフォームに登録している連絡先、住所、電子メールなどにより送付したものは、有効な送付とみなす。当事者が人民法院に送付住所确認書を提出した場合、人民法院は当該确認書に記載された送付住所に送付しなければならない。

第十九条 本規定は2021年6月1日より施行される。当院が以前公布した関連司法解釈が本規定と一致しない場合は、本規定に準ずる。

    

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