2027年1月1日施行の中国改正商標法における改正ポイント

2026/07/06
2026/07/06

この度、中国商標法草案が6月26日に行われた全国人民代表大会常務委員会にて可決され、2027年1月1日より施行されます。

今回改正された商標法は全9章87条から成り、商標分野における顕著な課題への対応を目的として、商標業務に関する基本方針を明確化するとともに、商標登録制度の整備、商標登録・権利化プロセスの最適化、商標管理の強化、および商標権の保護強化を図る内容となっています。

改正商標法 原文 https://www.cnipa.gov.cn/art/2026/6/26/art_95_206942.html

今回の改正における主な改正内容は次の通りです。

      項目                 主な改正ポイント
1悪意ある商標の大量出願・不正出願に関する規制 (旧第4条関連)第19条
「使用を目的とせず、かつ通常の生産・経営活動上の必要性を明らかに超えて商標登録出願した場合、登録を認めない。 欺瞞、その他の不正な手段により商標登録出願してはならない。」  

説明:
使用目的がなく、正常な事業活動の必要を明らかに超えた商標出願は登録が認められません。
2馳名商標の全類での保護(旧第13条関連)第21条
「同一又は類似の商品について登録出願した商標が、中国において登録されていない他人の馳名商標を複製し、模倣し、又は翻訳したものであって、混同を生じさせるおそれがある場合は、登録を認めず、その使用を禁止する。
 非同一又は非類似の商品について登録出願した商標が、他人の馳名商標を複製し、模倣し、又は翻訳したものであって、公衆に誤認を生じさせ、当該馳名商標権者の利益を害するおそれがある場合は、登録を認めず、その使用を禁止する。」

説明:
馳名商標の登録の有無を問わず、馳名商標を複製・模倣・翻訳した商標について、商誉希釈のおそれがある場合、全区分で登録不可・使用禁止となります。
3新しいタイプの商標登録  第14条

説明:
動的標章(動画など)を商標登録の対象として初めて明確化しました。
4商標異議申立期間の短縮第36条

説明:
公告後の異議申立期間が3ヶ月から 2ヶ月に短縮されます。
5指示的合理使用の導入第73条
「提供される商品の用途、適用対象、使用場面などの情報を指示するため、または真正な出所を明示するためにのみ関連する登録商標を使用する場合、登録商標権者は、他者による正当な使用を禁止する権利を有しない。
 ただし、混同を容易に生じさせる場合はこの限りではない。」  

説明:
商標の指示的使用の合法性について明確化しました。
6商標の不適正な使用への取締り第57条
 「商標権者が登録商標の使用過程において、登録商標、登録名義人の名称、住所又はその他の登録事項を無断で変更した場合、商標法執行を担当する部門は期間を定めて是正を命ずる。期間内に是正しない場合は、5万元以下の過料を科し、情状が重大である場合、国務院商標管理部門はその登録商標を取り消す。
 登録商標が、その指定使用商品について普通名称となった場合、又は正当な理由なく継続して3年間使用されていない場合、いかなる組織又は個人も、国務院商標管理部門に対し当該登録商標の取消しを請求することができる。国務院商標管理部門は、請求を受理した日から9ヶ月以内に決定をしなければならない。
 特別な事情により期間を延長する必要がある場合は、国務院商標管理部門の責任者の承認を経て、3ヶ月延長することができる。 登録商標が前項に規定する事由に該当する場合、国務院商標管理部門は当該登録商標を取り消すことができる。
 具体的な取扱いについては、国務院商標管理部門が別途定める。」

説明:
登録商標のデザインを一部変更し、馳名ブランドに便乗して使用し、公衆を誤認させる行為等についての取締りが強化されました。
また、登録商標が、その指定使用商品について普通名称となった場合、又は正当な理由なく継続して3年間使用されていない場合、国務院商標管理部門が職権により登録商標を取り消すことができるようになります。
7商標権侵害の賠償に係る規定を整備  第77条
 「登録商標権を侵害した場合の損害賠償額は、権利者が侵害により被った実際の損失又は侵害者が侵害により得た利益に基づいて算定するものとする。
 権利者の実際の損失又は侵害者の得た利益を確定することが困難な場合は、当該商標の使用許諾料の倍数を参照して合理的に確定する。故意による登録商標権侵害であって、情状が重大である場合は、上記の方法により算定した金額の1倍以上5倍以下の範囲で損害賠償額を定めることができる。
 権利者が侵害により被った実際の損失、侵害者が侵害により得た利益又は登録商標の使用許諾料のいずれについても確定することが困難な場合、人民法院は侵害行為の情状に応じて、500万元以下の損害賠償を命じることができる。
 損害賠償額には、権利者が侵害行為を停止させるために支出した合理的な費用も含まれる。」  

説明:
損害賠償の算定方法を並列的な選択肢に変更し、懲罰的損害賠償の基準を「悪意」から「故意」に変更するなど、専利法など他の法律との整合性を図りました。

以下、国家知識産権局が発表した記事の日本語訳となります。

全国人民代表大会常務委員会|商標の管理及び保護を強化 改正商標法が可決・成立

第14期全国人民代表大会常務委員会第23回会議は、6月26日、新たに改正された商標法を可決した。本改正商標法は2027年1月1日から施行される。

現行商標法は1983年に施行され、登録商標権の保護及び社会主義市場経済の発展に積極的な役割を果たしてきた。今回の改正商標法は、問題志向の考え方を堅持し、商標分野における顕在化した課題に焦点を当て、商標の登録、管理及び保護に関する制度を整備するとともに、実務において成熟した運用ルールの一部を法律上明文化したものである。

商標登録制度の適正化に関しては、改正商標法において新たに「商標登録の要件」の章が設けられ、これまで各章に分散して規定されていた商標登録要件が整理・集約されるとともに、その内容が充実された。さらに、使用を目的とせず、かつ通常の生産・経営活動における必要性を著しく超えて商標登録出願する場合には、登録を認めないことが明確化された。また、中国共産党の名称、党旗、党章、勲章、重要な理論的成果又は歴史的事件に関する象徴的要素と同一又は類似する標章は、商標として登録及び使用することができないことが明確に規定された。

登録商標を公衆に誤認を生じさせる方法で使用した場合については、商標法執行を担当する部門が期限を定めて是正を命じるものとし、違法な経営額が5万元以上である場合は、その違法経営額の5倍以下の過料を科すことができる。違法な経営額がない場合又は5万元に満たない場合には、25万元以下の過料を科すことができる。また、登録商標を公衆に誤認を生じさせる方法で使用する違法行為については、いかなる組織又は個人も、商標管理業務又は商標法執行を担当する部門に対し、苦情申立て又は通報を行う権利を有する。

商標代理機関およびその従事者に対する規制を強化するため、改正商標法では、商標代理機関は、当該機関およびその商標代理従事者に関する情報を国務院の商標管理部門に届け出なければならないと規定されている。また、各級の商標管理業務及び商標法執行を担当する部門は、商標代理機関及び商標代理従業者に対する監督管理を強化しなければならない。

企業の関連権益の保護を強化するため、改正商標法では、海外における商標登録の審査・審理または商標案件の処理において、当該商標が中国国内の関連公衆に広く認識されていることを証明する必要がある場合、当事者の請求に基づき、国務院商標管理部門は関連規定に従って、当該商標の馳名商標としての該当性を認定することができると定めている。

原文: 国家知識産権局 https://www.cnipa.gov.cn/art/2026/6/26/art_55_206931.html

    

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