このほど、国家市場監督管理総局は「営業秘密保護規定」(以下「本規定」という。)を公布し、本規定は2026年6月1日から施行されます。
本規定は、1995年に旧国家工商総局が公布した「営業秘密侵害行為の禁止に関する若干の規定」を全面的に改訂したもので、あらゆる種類の事業者が営業秘密の保護を強化するための、明確かつ実践的なコンプライアンス指針を提供しています。
営業秘密の成立要件および保護範囲を明確化
本規定では、営業秘密は以下の3つの要件をすべて満たす必要があると定めています。
- 公衆に知られていないこと
- 商業的価値を有すること
- 権利者が相応の秘密保持措置を講じていること
保護対象には、構造、処方、製造工程、アルゴリズム、コンピュータプログラムなどの技術情報に加え、アイデア、経営管理情報、顧客情報、財務データなどの経営情報が含まれます。
また、生産・経営活動の過程で生じた中間成果や、失敗した実験データ、技術案などについても、営業秘密の要件を満たす場合には保護対象となります。
さらに、本規定では合理的な秘密保持措置として、以下の8類型を例示しています。
- 秘密保持契約の締結
- 従業員の管理
- 物理的隔離
- 技術的保護措置(アクセス権限管理、データの匿名化・マスキング、操作ログの記録など)
- 記録媒体の管理
- 設備管理
- 退職者管理
- その他適切な秘密保持措置
これらは、デジタル時代における営業秘密保護の実務上のニーズを十分に反映した内容となっています。
営業秘密侵害行為を体系的に整理
本規定では、営業秘密侵害行為について次の4類型を明確に規定しています。
- 窃盗、贈賄、詐欺、脅迫、電子システムへの不正侵入などの不正手段により営業秘密を取得する行為(権限を超えたアクセス、技術的侵入、不正なデータ送信などのデジタル手法を含む)。
- 不正手段により取得した営業秘密を開示・使用し、または第三者による使用を許諾する行為、あるいは秘密保持義務に違反して保有する営業秘密を開示・使用する行為。
- 他人による営業秘密侵害を教唆、誘引または幇助する行為。
- 第三者が、不正に取得された営業秘密であることを知っている、または知るべきであったにもかかわらず、それを取得、開示または使用した場合も侵害行為とみなされる。
同時に、本規定では、侵害を構成しない状況につても明確にしています。
具体的には、
- 独自に発見または自主的に研究開発した場合
- 公開市場で適法に取得した製品についてリバースエンジニアリングを行った場合
- 退職した従業員が一般的な知識・技能を活用して業務を行う場合
- 違法行為・犯罪の告発や国家安全保障の維持のため、法令に基づいて情報を開示する場合
などは、営業秘密侵害には該当しません。
行政摘発手続および立証ルールを整備
権利者は、自らの営業秘密が侵害されたと判断した場合、市場監督管理部門へ通報し、初歩的な証拠および具体的な手掛かりを提出します。
市場監督管理部門は、現場検査、関係者への事情聴取、資料の閲覧・複製、差押え・押収、銀行口座の照会などの行政調査措置を講じることができます。
また、侵害認定については、被疑侵害者が使用している情報が権利者の営業秘密と実質的に同一であり、かつ被疑侵害者が当該営業秘密を取得可能な状況にあったことを示す証拠がある場合には、営業秘密侵害が成立すると認定できます。ただし、被疑侵害者は当該情報の合法的な取得経路を立証することにより、反論することができます。
営業秘密侵害に対する法的責任を明確化
一般的な営業秘密侵害については、
- 違法行為の停止命令
- 違法所得の没収
- 10万元以上100万元以下の罰金が科されます。
情状が重大な場合には、100万元以上500万元以下の罰金が科されます。
「情状が重大な場合」とは、例えば、
- 権利者に重大な直接的損害を与えた場合
- 権利者の生産・経営活動に重大な悪影響を及ぼした場合
- 国家利益または社会公共の利益を害した場合
- 過去2年以内に営業秘密侵害で行政処分を受けたにもかかわらず、再び侵害行為を行った場合
などが該当します。
また、犯罪に該当する場合には、法に基づき司法機関へ移送され、刑事責任が追及されます。
本規定の公布は、あらゆる種類の事業者が営業秘密の保護を強化するための明確かつ実務的なコンプライアンス指針を提供するものであり、企業の営業秘密保護に対する意識と能力を根源から高め、権利侵害をめぐる紛争を減らし、イノベーション環境およびビジネス環境を改善するとともに、公正な市場競争秩序の健全な発展が促進されることが期待されます。
出所:広東省市場監督管理局価格監督管理処、「市説新語」WeChat公式アカウントhttps://www.boip.com.cn/news/1259.html