改訂の主な経過
2025年4月30日から6月15日にかけて、「専利審査指南(改訂案意見募集稿)」を公開し、社会から広く意見を募集した。この期間中、社会的関心が高い事項について幅広く調査・論証を行い、書面による意見聴取、座談会、調査研究などを通じて意見・提案を聴取した。各方面から寄せられた意見を十分に検討のうえ取り入れ、改訂内容をさらに充実させた後、「専利審査指南(改訂案審査稿)」を作成し、中国国家知識産権局局務会での審議を経て承認された。2025年11月10日に中国国家知識産権局令第84号として公布され、2026年1月1日より施行される。
改訂の主な内容
今回の改訂は、ニーズを重視し、新たな分野・新たな業態における専利審査基準の整備に焦点を当て、審査実務において早急な解決が求められ、かつすでに意見の成熟した項目について改善を図った。
(一)新たな分野・新たな業態の保護制度を充実させ、産業イノベーションを一層促進させる
- 植物品種の定義を明確化し、専利として認め得る対象の範囲を拡大するとともに、植物新品種制度との合理的な連携を図り、種苗産業における知的財産権保護を強化する。
- 人工知能(AI)の倫理に関する考慮・判断を追加し、進歩性審査の例示を示すとともに、出願書類の記載要件を明確化し、AI技術の発展ニーズに対応する。
- ビットストリーム専利出願に関する特別規定を新設し、専利権付与が可能な状況を明確化して、ストリーミング産業の急速な発展に対応する。
(二)審査実務における喫緊の課題に対応し、審査基準とルールを最適化する
- 同日出願の取り扱いを見直し、実用新案権の放棄によってのみ特許の付与を認める方式とし、立法趣旨に立ち返る。
- 進歩性条項の法的意味および本質的要件に基づき、請求項に記載された特徴のうち、技術的問題の解決に寄与しないものは通常、技術案に進歩性をもたらさないことを明確化し、審査効率を高め、専利出願の質を向上させる。
- 無効審判の請求が請求人の真意に基づかない場合には受理しないことを明確化し、悪意ある無効審判請求行為を規制する。
(三)審査実務で成熟した取り扱いを明確化し、イノベーション主体へのサービスを向上させる
- ニーズに応じた審査の理念および迅速審査に関する規定を明確化し、イノベーション主体の実際の需要に対応する。
- 分割出願において優先権が宣言されていない場合の審査ルールを明確化し、分割出願人の優先権主張の権利を保障する。
- 優先権譲渡証明書類の提出要件を明確化し、出願人が審査基準を理解しやすいようにする。