中国初の「データ財産権登記証明書」を発行

2026/10/29
2026/10/29

2026年9月21日、中国において、初のデータ財産権登記証明書の発行が開始されました。
今回、56の企業・機関に対して、データの保有権、使用権、経営権等を証明する登記証明書が順次発行されました。対象となったのは、国有企業、事業単位、民間企業などです。

医療・情報技術など10分野以上をカバー

今回、初めて発行されたデータ財産権登記証明書は、医療・ヘルスケア、交通運輸、情報技術、科学研究など、10以上の業種・分野をカバーしています。
例えば、深セン航空は、航空機の整備データについてデータ財産権登記を行いました。
今後、このデータを活用して製品・サービスを開発し、他の航空会社や空港向けに故障予測や整備方案の提供を行うことを予定しています。これにより、長期的には「重資産型の事業運営」から「データを活用したサービス」への転換を目指しています。
また、今回発行された56件のデータ財産権登記証明書のうち、人工知能(AI)の活用に関連するデータ登記は15件を超えています。

例えば、京東(JD.com)は、身体性知能(Embodied AI)向けの高品質データセットについて登記を行いました。今後、当該データをAIモデルの訓練・開発や各種利用シーンの改善に活用するとともに、将来的には、法令を遵守し安全性を確保することを前提として、身体性知能関連企業や研究機関とのデータ連携にも活用する方針です。

なぜ「データ財産権の身分証」が必要なのか

今回、登録されたデータの具体例として、航空機の整備データと、身体性知能向けの高品質データセットが挙げられます。今後、これらのデータは、データを活用した新たなサービスの開発等に利用されることが期待されています。
では、なぜ中国では「データ財産権の身分証」ともいえるデータ財産権登記制度を整備する必要があるのでしょうか。

中国科学院大学経済・管理学院の孫毅教授は、データの流通・利用における最大の課題は、データそのものが不足していることではなく、「権利関係が明確でなく、責任の所在も不明確であるため、データの流通を躊躇してしまうこと」にあると指摘しています。
データ財産権登記証明書は、いわばデータに「戸籍」を付与するようなものであり、誰がデータを保有し、誰が使用でき、誰が運営・利用し、誰が利益を得るのかを明確にする役割を果たします。
これにより、従来曖昧であった「データ財産権」を、登記・確認・追跡が可能な権利証明として明確化することが期待されています。
企業にとっては、これまで権利関係を明確に説明することが難しかったデータを、資産として明確に把握できるようになり、会計上の資産計上や担保設定、資金調達等への活用につながる可能性があります。

また、データ要素市場においては、データの権利確認やコンプライアンス確認、取引に伴うコストを低減するとともに、権利侵害やデータの不正利用を抑制し、データ取引の効率化につながることが期待されています。
さらに、監督当局にとっても、データ流通を適切に管理するための統一的な基盤となり、データを円滑に流通させながら、適切な管理も行うための制度的基盤となります。
このように、データ財産権登記制度の導入は、データ要素市場におけるルールと基盤を整備し、最終的には、データの適法かつ効率的な流通を促進し、データの価値をより一層引き出すことを目的としています。

「データ財産権の身分証」はどのように取得し、何に利用できるのか

現在、データ財産権の登記を必要とする主体は、北京国際大数据交易所、上海数据交易所、深セン数据交易所の3つのデータ取引所で登記手続を行うことができます。
規定によれば、登記後に発行されるデータ財産権登記証明書の有効期間は、原則として5年間とされています。この期間、企業の日常的な事業活動において、データ取引やデジタル貿易など、さまざまな場面での活用が期待されています。

北京国際大数据交易所の関係者によれば、データ財産権登記証明書があれば、他社と協力する際にも、「誰が当該データを保有しているのか」「どのような目的で利用できるのか」「コンプライアンス上問題がないのか」を明確に説明できるため、データ取引・流通を円滑にすることができます。
また、データ財産権登記証明書は、権利者が当該データを適法に保有または管理していることを証明する資料として、データ資源の資産認識を支援する役割も期待されています。
さらに、データを担保とした融資や、データを出資財産として利用することなど、データを資金や株式等の経済的価値に転換する場面での活用も想定されています。

デジタル貿易における活用にも期待

データ財産権登記証明書は、デジタル貿易における新たなビジネスモデルにも活用されることが期待されています。
例えば、「来数加工(外部から提供されたデータを加工・分析するサービス)」や「トークン取引」などの新たなデータビジネスでは、企業によるデータ流通のニーズが高まっている一方、データの出所や利用の適法性を証明する仕組みが十分でなく、データ流通の障害となっていました。
深セン数据交易所によれば、データ財産権登記証明書は、こうしたデータの出所や権利関係を示す公的な証明として機能することで、取引当事者間の信頼コストを低減し、中国におけるデジタル貿易の効率化を支えることが期待されています。

今後の展開

国家データ局は今後、データ財産権登記機関を指導し、登記サービスの質をさらに向上させるとともに、各種主体の登記ニーズに対応していく方針です。
また、データ財産権登記証明書の活用場面を継続的に拡大し、データ要素が持つ価値の一層の開放・活用を促進するとしています。
今回の制度整備は、データの権利関係を明確化するだけでなく、データを資産として活用し、取引・融資・デジタル貿易等につなげるための基盤整備という側面も有しており、今後、中国におけるデータ財産権登記制度およびデータ要素市場の発展にどのような影響を与えるか、注目されます。

原文 https://xyhb.hebi.gov.cn/detail.do?contentId=08d89a4ecfec4094bd56e2d9087dea91

※備考
中国では現在、上記国家データ局が推進する「データ財産権登記」と中国国家知識産権局が主導する「データ知的財産権登記」の2種類が進められています。

    

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