中国国家知識産権局が発行する拒絶理由通知への対応に関するポイント

2026/05/12
2026/05/13

中国国家知識産権局における特許審査実務では、特許性に関する拒絶理由通知に対する応答の質が極めて重要であり、その内容が出願の登録可否を直接左右することも少なくありません。
適切な応答書とは、審査官から指摘された各拒絶理由に形式的に回答するにとどまらず、先行技術に対して当該発明が有する新規性、進歩性および技術的貢献を、説得力をもって示すことを目的とすべきです。

以下、OA応答書を作成するにあたり、登録可能性を高める上で有用と考えられる主な留意点および対応戦略について解説いたします。

I.複数文献を組み合わせた進歩性否定における「組み合わせの動機」の分析

審査官が複数の先行技術文献を組み合わせて進歩性を否定している場合、その応答において、当業者は、当該各文献の記載を組み合わせて、本願発明を想到するに至る合理的な技術的動機が実際に存在するか否かに焦点を当てることが重要です。

実務上は、一見もっともらしい組み合わせであっても、技術分野や課題の捉え方に不連続性が内在しているケースは少なくありません。例えば、以下のような点が挙げられます。

・技術分野の違い
引用文献の技術分野が本願発明の技術分野からかけ離れている場合、当業者は通常、異なる分野にまたがって解決案を模索しようとする動機を持ちません。このような技術分野の違いは、審査官が(意図的か否かを問わず)見落としがちであるため、出願人または発明者が積極的に指摘すべき重要な論点であります。

・解決しようとする技術的問題の相違
同一の構成要件であっても、文献によって全く異なる課題解決に用いられている場合があります。それぞれの技術的背景や文脈を考慮せずにただこれらの構成要件を組み合わせることは、発明当時に実際に存在していた技術的動機に基づくものではなく、事後的な判断(いわゆる後知恵)に基づく推論であることが多いです。

このような状況において、効果的な応答の鍵となるのは、審査官が指摘した上記のような構成要件の組み合わせが、論理的に合理的でなく、また実際の技術的ニーズに基づくものでもないことを、厳密かつ具体的に説明・立証することにあります。

II.「公知の技術的手段」に基づく拒絶に対して発明の一体性を強調することの重要性

ある構成要件が「当該分野における公知の技術的手段に属する」または「当業者が容易に想到し得る」とする拒絶理由が、近年CNIPAの審査実務において増加しています。こうした指摘は、具体的な先行技術文献を引用することなくなされる場合がしばしばあります。

これらの拒絶理由に対して単に否定するだけでは、通常、拒絶理由を解消することは難しいです。むしろ、審査官の論理構成を分解した上で、発明全体の技術的思想という観点から非自明性を主張する必要があります。具体的には、最も近い先行技術から本願発明に至るまでの各改良ステップが、審査官が指摘したように、真に、進歩性に値する労力を必要としない、日常的かつ単純な選択を構成するかどうかを検証する必要があります。

多くの場合、こうした指摘は、発明を過度に単純化または断片化して評価しているものであり、統合された技術的思想としての発明の一体性を看過しています。そのため、最も説得力のある反論は、発明の本質に立ち返り、全体的な技術的思想によって達成される非自明な相乗効果を明確に説明すること、あるいは、請求項に係る各構成要件間の有機的な関連性を具体的に示すことにあります。
これらの特徴は、通常、一つの課題に寄与し、この一つの課題は従来の発想や単なる寄せ集めによっては容易に想到し得ない場合が多いです。

III.OA応答における人工知能(AI)の役割――補助ツールから分析支援ツールへ

人工知能は、OA応答書の作成に関わるさまざまな場面において、徐々に活用されるようになってきています。当初、AIは主に作業効率を向上させるためのツールとして用いられており、例えば、外国語文献の翻訳や、文章表現・文法のチェックなどの作成時間を短縮するために利用されていました。しかしながら、その真の可能性は、分析的かつ戦略的な支援ツールとしての進化にあります。

ビッグデータ解析を活用することで、AIは弁理士が各技術的構成要件間の関連性を迅速に把握することを支援し、さらには様々な応答案に対し潜在的な有効性に関する初歩的な評価を提供することも可能です。また、AIは提案された応答の論理的一貫性(例えば、スリーステップ法の適用)を評価し、審査官がその後の審査段階で指摘する可能性のある潜在的な弱点、例えば、明細書から新たに付加された特徴が当該分野における単なる常套的選択にすぎないか否かを特定することも可能です。

AIは進歩性に関する最終判断において、人間の専門的知見を完全に代替することはできませんが、日常的な分析作業の負担を大幅に軽減することは可能です。これにより、弁理士は、より本質的な部分、すなわち進歩性を裏付ける説得力のある論理的主張の構築に、より注力することが可能となります。

原文:https://www.boip.com.cn/en/news/607.html

    

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