これはダメ!企業が商標管理を行う中での間違いとは?

2021/07/05
2022/04/14

商標は知的財産権の重要な構成要素として、国が発展する上で必要な戦略のひとつとなっています。市場での競争が激しい今、企業が不敗の地に立つために、商標は極めて重要な役割を果たしています。現在多くの企業が商標の重要な価値を認識しはじめ、商標管理を始めています。

筆者は10年以上知的財産法律サービスに携わっていて、さまざまな企業と接触してきましたが、その中で感じたことは、多くの企業が誤った商標管理を行っているため、商標の価値を最大化できないでいるということです。本文では、企業の商標管理業務において散見される誤解を分析するとともに、商標を効果的に管理する方法についても紹介していきたいと思います。

誤解1:商標はブランドであると考えていませんか?

まず、商標はブランドではありません。両者を直接同一視することはできません。商標とブランドには似ている部分もありますが、ブランドは商標よりももっと広い外延を持っています。広い意味でのブランドには、ブランド名、ブランド文化、ブランドイメージなどいろいろな要素が含まれます。ブランドは一種の市場概念で、感じたり、経験したりする必要がありますが、触れることはできません。それに対し商標は一種の法律概念で、見ることができ、触ることができ、手に取ることもできます。ブランドを広めるためには商標という法律媒体に頼る必要があり、ブランドに関連する要素は商標として登録されているだけで法律上での保護を受けることができるのです。

企業管理者は、商標がブランド価値を反映する最も重要な指標であるということを認識する必要があるでしょう。商標は権利登録が必要ですが、ブランドは自然に形成されるもので、商標なしでブランドを語ることは裸で走るのと同じで、そこには極めて大きな法的リスクが存在します。

誤解2:商標は特許より劣っていると考えていませんか?

皆さまご存じのとおり、知的財産権の一般的な種類には、商標、特許、著作権、企業秘密、ドメイン名、新種の植物などがあります。その中でも特に、商標、特許、著作権が最もよく見かけて、よく使われるものです。

筆者が接触してきた中で、商標と著作権は軽い資産に属して、特許は重い資産に属すると考えていて、知的財産権の管理システムの中で、商標と著作権よりも特許を重視している企業が数多きありました。ただこの認識には間違いがあります。知的財産権の法律全体の中で、商標法は最も理解しにくいものです。英国のJeremy Philips教授はかつて、次のような言葉を述べています。

「商標法は驚くほど欺瞞的で、一見明らかなように見えるが、謎に満ちている。一般的に、商標法についての理解が少ないほど、それは簡単だと勘違いしやすい。商標法を深く研究した人なら誰でも、驚くべきことに、この分野が知的財産権における本当の難題に満ちていることに気づくはずだ。多くの側面で、商標法の基本的な問題は依然として不確定性があり、且つ永遠にそうである可能性もある。この点で、商標法と量子力学には共通点があり、不確定性の原則はこの両方の学科で中心的な位置にある。」

企業によって、商標、特許、著作権の3種類の権利の数と質も異なり、企業が発展する中でのある段階で、そのうちの1つに重点を置く可能性がありますが、管理レベルから比較すると、3種類の権利は、どれかひとつを優先すべきではなく、同等の地位と見なすべきです。国内外の有名ブランドや100年以上の老舗を見渡してみると、いずれも商標を通じて継承されています。商標は永遠に使用し続けることができますが、特許と著作権には保護期間があります。

ここに、コカ・コーラの前会長であるウッドルフが、

「もし私の工場が火事で滅ぼされても、もし世界的金融危機に見舞われても、コカコーラのブランドがある限り、私は翌日また立ち上がる。」

と意欲的な言葉を発している理由があります。

意識が行動を決め、行動が結果を決めます。企業の管理者は、正しい商標のイデオロギーを確立しつつ、それを管理業務の中で実行し、専門の商標管理部門を設置し、専門の人員を配置し、専門の資金を提供すべきです。商標の話題は常に新しく、商標についての知識が少なければ少ないほど、それを簡単だと思ってしまいがちですが、それは無知の現れとも言えます。

誤解3:商標は単なる登録であると考えていませんか?

一部の企業管理者は、商標に必要な作業は商標を登録することで、登録が成功した後に使用して、権利侵害や模倣が見つかればその時に模倣品を取り締まるだけで良いと考えている人がいるようです。このような考えを持っている人は恐らくたくさんいると思いますが、この認識は明らかに井の中の蛙です。商標業務は、全面的で体系的なサービスシステムで、登録出願の提出を代理するだけでなく、商標システムの構築から、商標の命名計画、事前調査、登録提出、登録後の商標の使用、商標ライセンス、商標譲渡、商標ウォッチングその後の権利侵害調査、行政調査、競合交渉、競合製品の監視、司法訴訟など一連の法律サービスが含まれます。

多くの企業が、商標登録が成功したら目標達成で、無事登録させることが商標管理の最終的な目標ととらえていると思います。ですが実際は、商標登録の成功は最初のステップに過ぎず、その後の商標の維持とブランド構築にはより多くのリソースが必要です。企業の管理者の皆さんは、商標に関連する法律サービスは「登録だけではない」ことを認識する必要があります。

誤解4:商標のポートフォリオは簡単であると思っていませんか?

商標ポートフォリオは、商標システムの構築の中で最も重要な点で、ブランドの長期的で安定した発展のための重要な支えです。多くの管理者は、商標ポートフォリオとは、標識を使用する商品やサービス上で登録することであると考えていると思いますが、この考えは一方的なもので、商標登録としか言えず、商標ポートフォリオとは言えません。標識、商品、サービスが商標ポートフォリオの3つの重要な要素ですが、より詳細に分解する必要があります。これらの3つの要素に加えて、商標ポートフォリオには、地域や製品のライフサイクル、競合製品の分析なども含める必要があります。

標識のポートフォリオに関しては、商品やサービスで使用される標識に加えて、会社の商号など、他のシーンにおいても識別源として機能する標識を考慮する必要があります。中国で有名なMeituan(美団)やToutiao(今日头条)といった商標中国人なら誰もが知っているものですが、実際、Meituan(美団)を運営しているのは北京三快科技有限公司という会社で、Toutiao(今日头条)を運営しているのはBeijing ByteDance Technology Co.、Ltdという会社です。三快、Bytedanceは、両社の商号であり、商標としては使用されていませんが、使用シーンでは識別の作用を果たすことができます。三快、Bytedanceの商号については、同様に商標ポートフォリオを行う必要があり、実際両社もそうしています。

製品やサービス上でのポートフォリオをできるだけ全面的に行うには、まず現階段の使用ニーズをカバーし、次に短期的に拡大する可能性のある事業範囲をカバーし、最後に商標の希薄化を考慮する必要があります。具体的な実務では、大規模総合企業の場合、商標分類の45のカテゴリーすべてで登録をして、商標保護のクローズドループを形成し、商標を使用したいときいつでも使用できるようにしておくことを推奨します。例えば、今回新型コロナウィルスが流行する中で、中国企業であるWuling Motors(五菱汽車)、とGree Air Conditioners(格力空调)の両社がマスクの製造を開始しました。これはただホットスポットに便乗したわけではなく、両社は何年も前にマスク製品に関連する商標を登録していたため、背後での強力な商標ポートフォリオが大きな支えとなっていたのです。

商標ポートフォリオは製品のライフサイクルについても考慮する必要があります。製品のライフサイクルが長い場合、商標ポートフォリオは製品の誕生から製品が消滅するまで、数年から十数年にも及ぶ可能性があります。このように長い期間どのようにブランドを商標ポートフォリオを通じて維持していくかを考える必要があり、一連の商標を交代していくことがその方法として考えられます。

例えば、Huaweiは現在、白虎、朱雀、青牛、鴻鵠、饕餮、霊犀、騰蛇、威鳳などの数十の神獣名をチップ分野で登録しています。Huaweiはチップ分野の商標ポートフォリオですでに強大な「神獣天団」を形成していて、実際、Huaweiが発売した鴻蒙、麒麟、鯤鵬のチッププロセッサは広く知られています。Huaweiは、チップシステムの製品サイクルにおいて多数の商標をポートフォリオしていて、これは、Huaweiのチップブランドの長期的な発展をサポートするのに十分であると推測できます。

上記に加えて、商標ポートフォリオには多くの要素が関係しています。管理者は長期的な目線で焦点を当てる必要があります。合理的で先進的な商標ポートフォリオは、激しい市場競争の中でも企業のために強力な法的サポートを提供できます。

誤解5:商標は1つの部門の問題であると考えていませんか?

これまでの文章でも述べたように、企業は専用の商標管理部門を設立する必要がありますが、商標は決して管理部門一部門の問題ではありません。法務部や知的財産権部が最も一般的な商標管理部門だと思いますが、その責務は、会社の商標管理制度を策定し、商標に関連する様々な法務を具体的に実行することです。ただし、商標は法律に関連しているだけでなく、マーケティング、計画、営業、生産、製造、販売、アフターサービスなどの各プロセスとも密接に関連し、市場部門、生産製造部門、販売部門などにも関ってくることです。これらの部門と商標管理部門はほとんど並列のユニットで、商標管理にはこれらの部門の協力とサポートが必要です。例えば、マーケティング部門は、マーケティング営業活動に商標管理部門の意見を聞いて、商標マークの使用を規範化すべきです。販売部門は、販売市場を監視し、権利侵害の疑いを見つけた場合は、すぐに商標管理部門と連携し協力します。

実務では、各部門がお互いを理解しておらず、協力していないことが多いので、著者は、ブランド委員会を設立することをお勧めします。このブランド委員会は、企業の社長や副社長が統括し、法務部、知的財産権部、マーケティング部、販売部など各部門の責任者が委員会の中心メンバーとなって、当部門のメンバーを率いて商標に関する具体的な事務を実行し、内部で意見の相違が生じた場合は、ブランド委員会のトップに決定を委ねます。

商標管理は長期的な仕事です。企業は商標戦略を自社の経営戦略システムに組み込み、商標管理制度を積極的に策定するべきです。商標は企業の無形資産の一つで、効果的な管理を通じてこそ、商標という無形資産が最大の価値を発揮し、企業により高い経済的利益をもたらすことができます。

 

著者:北京市品源法律事務所 中国弁護士 王

    

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