先行技術調査とは?その活用方法について考えてみる

2021/07/05
2021/07/05

皆さま先行技術調査という言葉を聞いたことがありますか?先行技術調査とは出願を予定している技術案について、出願前に、その技術案に類似する技術案がないかを、すでに公開されている特許文献や非特許文献から探すことをいいます。先行技術調査は特許出願前のとても大事なステップで、先行技術調査を行うことで、出願する技術案に対する出願人の理解を深めることができますし、代理人が請求項の保護範囲を把握する助けにもなります。本文では主に先行技術調査の活用方法と考え方について話をしていきたいと思います。出願人と代理人に少しでも役立つ情報が提供できれば幸いです。

 

目次

  • 先行技術調査を行うメリット
  • 先行技術調査の行い方
  • まとめ

一、先行技術調査を行うメリット

では、先行技術調査を行うメリットとは何でしょうか?次のようにまとめることができると思います。

1出願する技術案をより完全なものにできます

先行技術調査は出願案件と類似する技術案を探す調査なので、必然的に出願案件と類似する比較文献が入手できます。そういった文献と出願案件を比べることで、出願案件にしかない特徴が何なのかより明確にすることができますし、もっとこうした方が良い、もっとこういう情報を追加したほうが良い、といった改善点も見えてくるはずです。つまり、先行技術調査を行うことで、出願する技術案をより完全なものとすることができ、保護効果を高めることができるのです。

2、代理人の明細書作成を助けます

先行技術調査を行うことで、最も近い先行技術の内容についても把握できます。最も近い先行技術と出願案件との本質的な違いを理解することができれば、この違いに基づいて出願案件が持つ有益な効果や進歩性について記述をすることができます。

3.出願案件の登録可能性がどれくらいあるのか、その判断に役立ちます

調査によると、中国では現在66%以上の特許が出願をしても最終的に権利付与を受けることができていません。そのほとんどが先に公開された文献が存在し、新規性に欠けるという理由からです。出願前に先行技術調査を行うことで、出願案件の新規性に影響を与える可能性のある従来技術を可能な限り回避し、特許出願の品質と登録確率を高めることができます。

4時間とお金の節約になります

特許出願から権利付与または不許可まで、通常かなりの時間を要します。出願前に先行技術調査を行わないことで、特許が不許可となってしまえば、明細書作成者にとっては貴重な時間を浪費したことになり、出願人にとってはなおのことお金と時間の損失でしかありません。

二、先行技術調査の行い方

2.1キーワード検索

キーワード検索は先行技術調査の最も基本的な検索方法です。まず、出願案件の内容から発明点の核心となるキーワードをまとめて検索を実施します。一般的には、技術案から機能的に限定された語彙、技術的特徴語彙、分野用語を複数抽出して並列キーワード検索を行います。この検索で大量の文献が抽出された場合は、並列キーワードの数を増やして検索範囲を絞ることができます。 検索後に抽出された文献が少なすぎて検索に不利な場合は、検索領域を適切に拡大するか、キーワードの並列数を減らして検索範囲を拡大するなど、検索結果に応じて段階的に調整することができます。

キーワード検索のプロセスをここで紹介します

ステップ1:技術案の内容を理解して、検索キーワードをまとめる

技術案を読んで、そこから発明のアイデアを見つけ、発明のアイデアをもとに検索の特徴をまとめます。検索の特徴といわれるものには、技術的特徴と機能的特徴の2種類があり、同時に発明が属する分野もまとめ、検索特徴と分野を検索キーワードとします。

ステップ2:適切な検索データベースを選択する

検索期間、国、地域の範囲に応じて適切な検索システム/データベースを選択します。

ステップ3:検索式を構築する

まず検索欄に一つのキーワードを入力します。

例えば、車両、ティーカップ、歯ブラシなどといったキーワードです。 次にブール演算論理語(andor及びnot)を使って複数のキーワードを並列に構築する検索式を利用します。例えば、車両and ハンドル、車両and(取って(把手)orハンドル(方向盘))などです。ここで注意するポイントがひとつ、並列キーワードを構築する際には一般的に分野用語を最初に入れて、その後に発明点の核心キーワードを並列に構築します。 

ステップ4:検索式を調整する

ステップ3で得られた初歩的な検索結果とキーワードの重要度、関連度に基づいて検索式を調整=キーワードを増減させます(まず発明点の核心キーワードを調整して、次に領域を徐々に置き換えます)

また、検索結果の再現率と適合率を本願の技術案に基づいて判断し、検索式を適切に調整して置き換えます。

ここからは具体的な検索方法について例をもって説明していきます。

例えば、名称が「全方位調節スマート眼鏡ユニット」で、主な発明点がレンズ側が全方位(上下、左右と前後)に調節できることであるとします。
まず、この製品の属する分野を「小→大」にまとめます。
スマート眼鏡眼鏡スマート着用着用装置、といった感じです。
核心キーワードには、調節、回転、移動、上下、左右、前後などがあります。
まずブール演算子の法則に基づいて「スマート眼鏡」分野の検索式を構築していきます。スマート眼鏡and(調節or回転or移動)
スマート眼鏡and調節and(回転or移動)
スマート眼鏡and回転and移動
といった感じです。
上記検索式で、「スマート眼鏡」を主な分野とする関連検索が完了しました。
次に、他のキーワードを段階的に調整し、検索を置き換えます。
さらに、「スマート眼鏡」を「眼鏡」→「スマート着用」→「着用装置」の順に置き換えて検索し、要求に見合った関連特許文書が検索されるまで検索を繰り替えします。

2.2分類番号で検索する

方法1:出願案件がIPC分類番号のどのタイプに属するのかは、記載されている技術案に基づいて初歩的に判断することができ、大グループの中で本出願に最も近いサブタイプを段階的に見つけることができます。

例えば、名称が「省エネランプ」であれば、IPC分類番号の中のFを探します。Fは機械工学、照明、加熱武器、爆破分野を表していて、このFのサブタイプの中でさらにF21(照明)を探します。

この方法では、本願に最も近い分野を見つけることができ、この分野でキーワードを入力することで、関連する検索結果を素早くかつ正確に得ることができます。

方法2:まずキーワードを用いていくつかの従来技術の特許を検索します。

その中から頻度の高いIPC分類番号を分析し、その分類番号を本願の最も近い分野とします。そのIPC分類番号のもと、キーワードを入力して二次検索を行います。

2.3専利関係者ごとに検索する

一部の出願人は1つの製品に対して一連の特許出願をします。こういった場合、この出願人が出願したオンライン特許を検索することで、本願に最も近い従来技術をすぐに見つけることができます。

この場合、出願人欄に目的の出願人を入力し、別欄に製品キーワードを入力して検索することができるので、検索効率が向上します。

出願人が会社である場合は、会社の全称、略称、中国語名、英語名を別々に検索して、漏れがないように注意する必要があります。

2.4関連特許によるインデックス検索

最も近い先行特許文献が複数検索された場合、情報を引用することでその文献の引例文献を検索したり、同族特許が存在するかどうかを検索したりすることができます。これにより先行特許文献の数を広げることができます。

この方式を通じて、本願と関連度の高い先行特許文献をすぐに見つけることができますし、先行特許文献の引例や同族特許がある場合にも適用できます。

ご紹介した上記4つの検索方法は、実際の運用をする中で、必要に応じて単独で行うこともできますし、組み合わせて運用することで先行技術調査の効率向上につなげることもできると思います。

まとめ

先行技術調査の活用方法について、理解を深めていただくことはできたでしょうか。中国には、它山之石可以攻玉(他の山にあるどんなつまらない石でも 自分の宝石を磨くのには役に立つ)ということわざがありますが、代理人や出願人が高い検索能力を持っていなくても、出願前の先行技術調査を正しく行うことで、出願案件を完全なものとすることができ、明細書の内容の向上や品質の保証に役立ちます。

作者:北京品源専利代理有限公司 杜雪清

    

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