中国には56の民族が存在していて、地域ごとに使われている方言があります。
中国の方言は日本のようにイントネーションが違ったり、多少言葉が変わるくらいのものではありません。
全く違う言語のように、それぞれの地方の方言は異なるため、同じ中国人同士でも他地域の方言は理解できないことが多いです。
そんな中で、方言の地方差をなくすための公用語となっているのが、「標準語」です。
標準語に相当する方言は「北方語」で、古くから役人や官史たちの間で使われていた方言であったため官話(マンダリン)とも呼ばれています。
標準語には発音が明瞭などの特徴があり、全国民の7割以上が話すことができます。
中国全土の学校でも標準語を使用して授業が行われています。
中華人民共和国教育部の2019年「中国語言語文字概況」の紹介に基づくと、中国語の方言は、一般的に以下の10の方言に分類されます。
官話語(北方語)・粤語(えつご)・呉語(ごご)・客家語(はっかご)・閩語(びんご)・湘語(しょうご)・晋語(しんご)・贛語(かんご)・徽語(きご)・平話土話(へいわどわ)
中国語10大方言分布図

出所:百度
簡単にそれぞれの言語について紹介します。
官話(北方語)
中国北方地区の主要な方言で、官話は「公用語」の意味を持ちます。
北京語の発音を標準音としていて、人口は漢民族総人口の70%以上(8億人以上)を占めます。1956年に普通語が確立されると、官話は全国共通語の基礎方言と定義されました。
晋語(しんご)
晋語は中国北部で唯一の官話以外の方言です。
分布エリアは山西省、陝西省の北部、河北省西部、内蒙古自治区の西部および河南省の一部などで、晋語の使用人口は6305万人あまりです。
呉語 ごご
上海周辺で使われている方言で、欧米各国の租界(外国人居留地)であった影響から外来語に近い単語も存在します。
呉語の使用人口は9000万人以上です。
閩語 びんご
最も難解な方言と言われています。
分布エリアは福建省、広東省東部、西南部、海南省、台湾などで、使用人口は約8000万人ほどです。
客家語 はっかご
広東省の東部や台湾、東南アジアに分布していて、中国南部の10以上の省(市・自治区)にまたがる200以上の県市、および海外のマレーシア、シンガポール、インドネシア、アメリカ大陸など80以上の国・地域で広く使用されています。
客家語の使用人口は6500万人ほどです。
粤語 えつご
粤語は広東語とも呼ばれていますが、粤語の中には6つの方言があります。
その方言の一つである広州語が粤語を代表する方言です。
方言といっても、発音が標準語とはまったく異なるので、他の方言を話す人たちが粤語を理解するのは難しいです。
粤語の使用人口は7000万人以上で、1,2億人近くいるといわれています。
湘語 しょうご(長沙語)
湖南省で多く話されている方言で毛沢東の母語としても知られています。
分布エリアは湖南省、広東省、広西チワン族自治区北部、四川省の一部などで、
使用人口は4500万人ほどです。
贛語 かんご(南昌語)
独特の音韻体系を持ち、他方言と大きく異なります。他の方言を話す人との会話が難しいです。
分布エリアは主に江西省の大部分、湖南省東部、湖北省南東部、安徽省南西部、福建省北西部などで使用人口は6000万人ほどです。
徽語 きご
分布エリアは安徽省南部、および浙江省、江西省の安徽省に隣接する地域などで、使用人口は400万人余りしかいません。
平話・土話(へいわ・どわ)
広西、湖南、広東などの省区の複数の市県に分布していて、漢族に加え、ヤオ族、チワン族など複数の民族が使用しており、総使用人口は約779万人、中国内の59の県市に及びます。
出所:中国方言_百度百科
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